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[コメント] ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)

思春期に見たらトラウマになってしまいそうな怖い映画。ヴァンパイアという設定が、人と人とが理解不能であるという断絶を際立たせている。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の文学性は、青春映画というより宗教映画のようである。言葉では言い表せない感情が長く尾を引く恐ろしさがある。

この映画の主人公は決定論に支配されている。人間は自由な意思を持たず、生まれながらに罪人であるという、キリスト教的な人物造形である。誰もが、自発的に運命を切り開こうとはせず、ただ受動的に定めのままに生きているようだ。

招かれたレアンデションが、ヘーデブラントの言質を待ちあぐねて体から血を吹くシーンは衝撃的だ。決定論や因果律に縛られていても、それを主体的に引き受けることで、新たな関係性が確かに生まれたのだと感じさせる。

なお、赤い戦車さんのレビューに指摘があるように、恥部シーンのスクラッチ処理は、作品の意図を毀損するものでしかない。レアンデションが去勢された男児であるから、よりこの映画の深みが増すのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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