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[コメント] にごりえ(1953/日)

どの女も必死で生きてるのに、どの男もだめ街道まっしぐら。第三話の「お力」の性格描写が『州崎パラダイス 赤信号』の蔦枝と似てるなぁと思ったら、同じ脚本家でびっくり。なるほど。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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第一話、3点。ラストのいかにもなセットの風景に浮かぶいかにもな月が、運命に導かれるままのふたりのこれまでとこれからを象徴してるようで興味深い。しょせん天に与えられた人生とでもいうか。自分の意志とは違うところにある、狂わされた哀しい現実とでもいうか。

第二話、3点。原作の謎めいたエッセンスを活かした脚本が素晴らしい。キャラクターも濃くなってるし、たぶん一葉も草葉の陰からほくそ笑んでると思う。でも、盗むシーンをわざわざ解説ぎみに撮るところとか(いちいち撮さなくてもその後の展開でじゅうぶんわかる)、べたべたなサスペンス風の音楽とか、変なズームが好きになれない。

第三話、5点。ぐるぐるとカメラごと酔っぱらう宴会シーンは映画ならではの醍醐味だと思う。お灸のあとが残る背中に白粉をぬりつけるシーンや、名刺を探す男がふと女の胸元に手を入れるシーンなど、さりげない(和服ゆえの)エロスが挿入されているのもよい。また、これも第二話同様キャラが原作よりも濃く描かれていて、それぞれの人間が背負う悲哀がより強く伝わってくるようになってる。この映画のためにつくられた脇キャラたちがとてもうまくなじんでいて、ちっとも違和感を覚えないどころかかえって映画をおもしろくしているというのも素晴らしい。

(評価:★4)

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