[コメント] 武士の家計簿(2010/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
食事に関わる場面が多く、材料の調達や準備の様子、実際にできあがったものや食べる様子などで人柄や状況を語るというのも(使い尽くされた演出ではあるけど)わかりやすくてよい。
経済の動向を身近に感じるのって多くの庶民にとっては食料品の値段なわけだから(光熱費やガソリン代などももちろんあるけどね!)、「家計簿」というタイトルにも見合っていると思う。
おばあさんがほくほく読んで解いていたのは「塵劫記」? 江戸時代に大流行した娯楽としての算術暑…という知識はあっても実際に読んでいるひとを見るのは初めてだったので(や、映画だけど!)、こんな感じだったのだろうなあと嬉しかった。
彼女の存在はこの家に生まれ育った者の性質を表す上でも大事だと思った。理系の血筋なんだねと。学ぶことが好きな血筋なんだねと。
とはいえ、それでも、子どもの教育シーンは見ていてつらかった。家父長制と教育虐待ってめっちゃシンクロしてるんだ!とあらためて実感させられてうんざりした。私にはそこに父親の愛情を見ることはできなかった。ただただ気持ち悪かった。
家を継ぐという概念はこの時代に比べればだいぶなくなってきてるのだろうけど、教育虐待はどんどん増えてきてるし増えていくような気がする。教育虐待を受けて育ったひとたちがこの映画を見たらどんな気持ちになるのだろう。たぶんあの父親は愛せないんじゃないか? それとも逆に肯定して自分の心を守るのだろうか?
この映画を教育虐待の映画としてとらえるのは間違っている。頭ではそう理解しつつも、家族というより父子の話なんだなあと思いながら見ていたので(ペペロンチーノさんのコメントを読んで確信した)、なおさら中盤以降モヤモヤしっぱなしだった。私が見たい父親の愛情はあれじゃなかった。愛情どころか暴力としか思えなかった。時代的にそうしなければ生きていけなかったのだろうけど、それでも受け入れ難かった。
原作からしてそうなのか、脚本でそうなったのか、はたまた監督の意向なのか。その辺りは知らないけれど。
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