[コメント] リトル・ランボーズ(2007/英=仏)
自分も昔少年だったせいか、少年時代を描いた映画は、なにか通じ合うものがある。と思ってたけど、この作品にはほとんど何もなかった。
確かに「プリマス同胞教会」みたいな宗教団体の存在は知らなかった。自分の体験では、小学校の授業中にテレビ番組を見せられるというシチュエーションはあったが、世俗的なエンターテイメントは禁じられている、という理由で、その時間は外で自習させられる子供がいる、てのはなかった。イギリスでは、さほど突拍子のない設定、という訳ではないのかもしれない。教育番組でも駄目なんだろうか?と不思議な気はするが、要するにそんなだもんで、エンターテイメントにまったく免疫のない少年が、偶然から映画『ランボー』を観てしまい、その魅力にどっぷりハマってしまったという話な訳だ。なるほど。
しかし、あらためてこう書き出してみると、実にくだらん話だな。親に禁じられた物を観る、という秘めやかな楽しみはあるはずだが、その子供の中に少しでも宗教心が芽生えているのなら、その「楽しみ」を自分から否定する気持ちも生じるはずである。親には黙っておこうと思うだろうし、親には観たことを絶対に悟られないようにしようとの子供心ならではの一大決心をするかもしれない。そういう心の葛藤とか、心理の揺れ動く推移を描いてくれた方が、私には興味深い。
自分の父親にレコードプレーヤーを壊された体験を、「父が私を正しい道に戻してくれた」と語る母親も、心の壊れた人間にしか見えないし、この映画は、そういう存在を記号的に取り扱うだけで、生身の人間を描こうという意思はまるでない。不愉快な映画だ。
それでも、そんなに切って捨てるほどの悪印象までは持たなかったのは、やはり少年時代を描いていたせいかもしれない。
70/100
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