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[コメント] 僕と妻の1778の物語(2010/日)

うーん、こういう映画って、見る前からストーリーがほぼ分かっていて、何を見るねん?という映画でしょう。結構作り手も見る方も観賞姿勢が難しいですね。
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**ネタバレ注意**
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それを分かっているから、あまりお涙ものにしなかった星譲はエライと思います。だって見ているうちに、人の死とそれぞれの歳月、というものに人は涙を流さずにはいられません。こういう映画を作る際に一番難しいのはどういう構成で映画を撮ろうかということですね。

で、この映画な場合は1778個のエピソードがあるわけです。本作はこのエピソードを傍系にロボットからSF作家らしく奇想天外なものが登場しますが、本線は愛妻との闘病光景です。

子供のいない夫婦に押し寄せる不幸。草なぎ剛竹内結子だからそれはそれは美しい無垢な愛の日々が繰り広げられます。妻のために毎日小説を執筆する夫。読者は今までも彼女が最初だったが、今回は彼女のためだけの小説を一日一編紡いでゆく。もうそれだけで胸を打つ素晴らしい夫婦愛です。

昔はこの手の夫婦愛の映画も結構製作されていたけど、最近ではほとんど日本映画では皆無なんですよ。それだけ夫婦の愛情が不確かになってきている時代でもあるんです。

肝心のエピソード挿話がちとすべってる感じかしましたが、それは恐らく原作がそうだったからでしょうし、文句は言えません。でも知識屋のロボットの話は感じるものがありました。「空が青いのは、空は海だから」なんて、素敵で、新発見です。あの、北海道の澄み切った青空の下に一本の大きな大木。これだけでこの映画を見た甲斐がありました。

この作品で驚いたのは、草なぎ剛竹内結子の演技です。竹内結子はもう今さら何を言うべきか、でしょうが、草なぎ剛は朔太郎に成り切っていましたね。換言すれば、草なぎ剛がそのまま生身で病妻に寄り添う夫になっているんですね。彼自身が映画の画面にいる、んですよ。これはすごいと思いました。(別に僕は彼のファンでもなく、全然普段は無関心ですが、、)

思いもかけず号泣した吾輩ですが、この映画は老夫婦より、是非今お付き合いしているいる若いカップルに見てもらいたいですね。お互いをよく分かるようになると思いますよ。

(評価:★4)

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