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[コメント] 英国王のスピーチ(2010/英=豪)

ジェフリー・ラッシュがとても良かった。『シャイン』の頃から歳をとっても彼の役どころは一貫しているように思えます。(2011/10/12)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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アカデミー賞を受賞した作品なので一応見ておかないとね。知人に聞いてもみんなよかったと言っていますからね。

さて本作ですが、題材が何しろいいですね。

国王という権威と、相反する吃音という悩み。この対比を題材にしたという時点でまず勇気ある行動です。

そして、その題材にいかにももっともらしい脇役を配置して、その脇役を通じて本人の存在(王としての存在)がより大きくクローズアップされる手法です。

見事です。

逆に、同じような制度にある日本は皇室を題材にした映画はなかなかできにくいのでしょうか。

アレクサンドル・ソクーロフの『太陽』という作品が唯一かもしれません。あとはドキュメンタリーですね。イギリスでは『クイーン』という作品で現存する女王を見事に演じていますしね。報道規制の隔たりなのでしょうか?

しかし!とにもかくにもこの作品ではジェフリー・ラッシュが見事な演技を見せていますね。『シャイン』で初めて主役を射止め、あれからもう15年も経過したんですね。

彼の出演作品には一貫したものを感じます。

それは

コンプレックス

シャイン』がそうだったでしょう。親のコンプレックスを歪曲して受け継いだ天才のお話です。

パイレーツ・オブ・カリビアン』のキャプテン・バルボッサだってコンプレックスの塊のような存在だ。

そして今回の作品も自らのコンプレックスを国王の手助けに使おうとする。

途中詐欺師のように見下されるシーンもありましたが、それでもこの映画を見る者は彼のコンプレックスを補おうとする強い意志に感動するんですね。

映像美も素晴らしい。この監督とキャメラマンはなかなか才能がありそうです。

この映画の被写体は前半のほとんどが画面の左右に存在します。画面からはずれそうなぐらい脇に追いやられていますね。それは自分と他人に対する気持ち、姿勢の問題なんでしょうか。いずれも脇に被写体が存在します。

しかし注意深く映画を見ていると、被写体がどんどん中央に寄ってくるんですよね。そして最後。国王が国民に向けたスピーチをするシーンで、ついに主人公が画面中央から堂々とカメラに向かって歩き出す。その自信にあふれた見事なシーンだ。うまいなー。

ということで、今年のアカデミー賞も素晴らしい作品を選んでくれました。最近は混戦続きですね。でもとてもいい映画を見せてもらいましたね。

(評価:★4)

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