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[コメント] ザ・ファイター(2010/米)

“Fighters”のゼロ年代から、“The Fighter”の10年代へ。
Orpheus

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







《兄》と《弟》という二つの魂の物語をどちらも等価に描き、「一つのサクセス・ストーリー」としてまとめているところに、今の時代を感じる。本作の原題が“Fighters”でなく“The Fighter”と単数であることからも約束されているように、《兄あっての弟/弟あっての兄》であるという「コインの表と裏」の関係性を保ちながら、二人とも危機を乗り越えて、共通の夢を実現する。思うに、共和党政権下のあの同時多発テロで始まった2000年代が「他者とのコミュニケーション不在」の泥沼的“Fighters”状況から『ノーカントリー』の絶望の淵へと転落していったのに対し、民主党政権下の2010年代はその反動からなのか、本作や『ヒア アフター』のように「他者とのフラットな関係」をめざす“The Fighter”的共感を観客に披露する作品が増えてきているようだ。もっとも、そうした「キレイゴト」が蔓延る風潮を嫌って『ソーシャル・ネットワーク』や『キック・アス』のようなアクの強いカウンター映画が早速登場してきていることからも分かるように、現実の社会はまさに“Fighters”だらけなのである。誰もが勝者となれる「美しい楽園」など、この世には存在しない。しかし、この兄弟の「成長のための戦い」を描いた実話には、冷徹な現実を超えて「楽園」の門へと至る「幻想」を抱かせるだけの力があることもまた確かである。個人的にはあまり好きではない題材なのだが、マーク・ウォールバーグ の映画化への執念とクリスチャン・ベールの迫真の演技に「ノックアウト」されたので、4点を進呈。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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