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[コメント] ファンタスティック Mr.FOX(2009/米=英)

本年度ベスト級の痛快娯楽エンターテイメント。『ウォレスとグルミット』シリーズや絶頂期の宮崎駿作品にも匹敵する興奮。アクションにコメディにダンスとこの隙のなさはちょっと信じ難い。ストップモーションアニメの一つの到達点ではないか。
赤い戦車

驚いたのは1カットの情報量の多さ。冒頭、盗みの場面での横移動からして凄まじい量の情報が詰め込まれている。これほどの画面が一瞬にして過ぎ去るとはなんという贅沢だろうか。晩餐会の場面なんてほとんど偏執狂の領域だ。ウェス・アンダーソン監督の作品を見るのは本作が初めてなのだが、他作もこんな感じの画面なのだろうか。シンメトリックな構図も多く、キューブリックの画面に通じるものも感じた。

ユーモアセンスもずば抜けている。奇抜なキャラクターたちの面白いこと面白いこと。特に管理人のカイリには何度も笑わせられた。ロアルド・ダールの原作がそうなのかアンダーソンボームバックの脚本が素晴らしいのかは知らないが、台詞の応酬もウィットに富んでいてウディ・アレン映画のよう。最初から最後まで没頭して楽しんだ。

これほどの傑作がわずか1コメ(2011年8月30日現在)というのはあまりに寂しい状況だ。私が観に行った回は自分含め観客がたったの3人。もっと多くの方が観るべき映画だと思う。

余談。思いがけずトリュフォー映画のサントラ(「恋のエチュード」「映画に愛をこめて」)が流れてきて嬉しくなったことを記しておく。ありがとうアンダーソン。まさしく映画愛に満ちた作品だったよ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)わっこ[*] DSCH[*]

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