[コメント] サンクタム(2010/米)
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地底の洞窟探検をしていると、こういうシチュエーションに襲われ得るのだなと、もちろんまったく事前に想像はつかないが、でもあり得るだろうなと思える。リアリティ、という言葉しか思いつかないが、その辺、製作陣にいる体験者(キャメロン、ウェイト)ならではのリアリティが凄い。
その上で、本来はどちらかと言えば、そういう数々のシチュエーションを繋いで描くために用意された、としか思えないようなドラマ部分に、はっきり言えば見応えがある。
主人公(親父の方)は、どう見ても、グループのリーダーとして同行した仲間たちの命をどんな場合でも最優先する、というよりは、誰もたどり着いたことのない場所、誰も見たことのない景色を見たいというような、名誉欲というのか冒険欲みたいなものにとりつかれており、そのために仲間の命を犠牲にすることを厭わない。選択肢としてはギリギリの場面と描かれているけれど、そういう場面に陥ることのないよう仲間の命を優先する、ということはなく、常に仲間を殺して前に進んで行く。力の強い者が生きるという非情な倫理の中に身を置いていることも明らかだ。
その点において、観念的なキャラクターなのかとも思う。だが少なくとも観念の世界においては、成立するキャラクターだとも思った。洞窟探検者たちが魅力を感じる世界においては、こういうキャラクターが理想像として成立するのかもしれない。
僕自身は、ここまで暗くて、ここまで狭い世界は、怖いとしか思わない。だから、そもそも彼らの世界を魅力的だと思わないし、当然ながらこの人物像を倫理的に肯定できない。だが、彼らが魅力を感じる世界においては、こういう人物が理想なのかもしれないということについて、外形的には理解できると思った。
80/100(17/12/24見)
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