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[コメント] ミッション:8ミニッツ(2011/米)

科学要素と哲学要素。それを明確に娯楽でくるんだ好作。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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これは面白かった。物語自体はワンアイディアもので、他愛ないと言えば他愛ないが、絶妙な8分間が連続して続くことで、全く飽きさせずに最後まで突っ走り、そして帯にあるように最後は気持ちよく騙された。意外さと心地よさ。これだけあれば映画は充分楽しくなることをきっちり示した作品だろう。オチが重要なのでここではネタバレはしないが、同じ事が繰り返されている内に、徐々に真実が分かってくるというのは、ゲームとかをやっているとよく分かる感覚。どうやったらこれを超えられる?と思って何度も失敗してる内に、「こうしたら?」「ああしたら?」と考えるのが楽しい。むしろゲームやってる時よりも、少し離れて考えてる時間がとても楽しかったりもするものだ。まさにその感覚を映画の中で味あわせてくれる。

 それと、映画の根底をなすテーマが、繰り返す日常の中で何が最善かを考えるという、まるでニーチェのような哲学的テーマを内包しているようで、なんかライミス監督の『恋はデジャ・ブ』(1993)を思わせる内容も良い感じ。

 つまり科学的、哲学的の両面から本作は作られていると考えられるだろう。しかもそのバランスはあまり考えずに娯楽に徹したのも良いところ。

 時間の問題もあってか、哲学的内容を深めることが出来なかったことと(あれはハッピーエンドなの?『天国から来たチャンピオン』で味わった居心地の悪さもある)、科学的な説明が足りなかったこと(何故8分間に何度も挑戦できるのかとか、コルターがそれに適合するのか。それによって現実世界にどのような影響が起こるのかとか、色々出てくる)なども結構後になってくると出てくるのだが…

 でも、その辺考えずに娯楽だからと割り切ってしまうのが良いんだろう。観ていて楽しい。それで充分か。

(評価:★4)

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