[コメント] 女と銃と荒野の麺屋(2009/中国)
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どうしたって『初恋のきた道』のインパクトが強くて、自身もそれに引きづられている感もないではない感動作(『至福のとき』『サンザシの樹の下で』)を撮ったり、『HERO』や『LOVERS』みたいな外貨稼ぎのアクション大作を撮ったり、『王妃の紋章』みたいなウヒヒ映画を撮ったり(<それは違う)しているが、元々は『紅いコーリャン』や『菊豆』の人なのだ。 彼の中でどこかに「年寄りに買われるように嫁いだ女の話」というのが好みなのだろう。 それをコメディー処理するとこうなるというか。
コーエン兄弟のデビュー作『ブラッドシンプル』のリメイクなのだが、正直言うと面白いかどうかというより「こういう話だったなあ」という感想。 今『ブラッドシンプル』を観直しても同じ感想を持つかもしれない。 だってコーエン兄弟は、同じような話をもっと進化した形で見せ続けているじゃない。 もう少し丁寧に言うと、コーエン兄弟はもう少し後の方が明確に「バタバタする人間の滑稽さ」を打ち出していると思う。 『ブラッドシンプル』の面白さは、どちらかというと、今まで観たこと無い話をスタイリッシュな映像で魅せたセンセーショナルさにあると思う。 まあ、それだからチャン・イーモウもリメイクしたかったのかもしれないが。
ただ、この映画を観て気付いたのだが、コーエン兄弟の映画は荒涼感がある。 チャン・イーモウはそれを荒野として表現した。しつこいくらいに。 確かに『ノーカントリー』は西部の砂漠だったが、それ以外は決してそんなことはない。それでも、どこか乾いた感じがする。チャン・イーモウはちゃんとそれを嗅ぎとっているのだ。 そういう意味で、チャン・イーモウの才覚を感じる。 なぜ麺屋なのかは置いといて。なぜあんな荒野のど真ん中で麺屋をやってる主人が金持ちなのかは置いといて。
(11.09.25 渋谷シネマライズにて鑑賞)
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