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[コメント] 恋の罪(2011/日)

膨らみがない。
ナム太郎

本作でもまた出演者の多くがによって絞首され、切り刻まれたことが想像されるが、例えばそこを超えて覚醒した満島の強靭な力をもとに4時間をひた走り続けた『愛のむきだし』などを愛する人は、逆に彼自身の首を絞め返したいほどの思いを抱かれただろうし、彼を知らぬままに『恋の罪』などという甘いタイトルに惹かれ劇場へと足を踏み入れてしまった人には、そのエロエロドロドロの闇の世界から一時でも早く抜け出してしまいたいという思いを抱かれたことでもあろう。実際上映後のロビーには、そういう気まずい雰囲気の若い2人づれも幾人か見られたことだった。

が、反面、いや違う、要はただ単にそれを身体の奥底から気持ちよく思えるか否かなのだという人には、その童顔の裏にあるしたたかさをひた隠しつつ、本作とをも我がものとした神楽坂の肢体に心と身体とを熱くされたことだろう。確かにその頑張りには、こちらの方も何らかの形で応えてあげたいという気にはさせる映画だ。

ただ、これを傑作だ、秀作だなどと言われると、素直には同意できないというのが正直なところ。水野演じる刑事の内面の性を神楽坂富樫に体現させるなどという構造もさることながら、その描き方も安っぽいホラーかと見紛うほどの薄さを感じるところがあったし、役者陣だって、面白いとは思ったが、決して巧いとは思わなかった。

結局は水野の位置づけをどのように判断するかなのだろうが、個人的には、彼女が画面に出ていないときでもその存在を暗に感じるようなレベルの映画にはなっていなかったと思う。だから膨らみがない。そこが残念。

とか言いつつ、の今後にはもちろん期待。それだけは最後に述べておきたい。

(評価:★3)

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