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[コメント] やがて来たる者へ(2009/伊)

イタリアの終戦時の内乱はあまり知ってはいない。ただ見ていてイタリアにおけるベトナムのようなものなんだろうとは理解できる。ドイツ軍がアメリカでパルチザンがベトコンだと思えば何ら自然とこの作品の世界に入ってゆくことができた。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラストが何となく映画を見る前から予想できるので、常に痛々しい眼でこの映画を見ることになる。でもそれだけに人間のどうしようもない悪意の前には無垢な人間は倒れるのみなのか!そこがつらく、怒りが湧いてくるのを感じるが、しかしあまりに空しく哀しい。

この人間の営みを、ただ何のてらいもなく感情を押し殺した美しい映像のこの上ない宗教的なことか。僕は見ていて、日本映画で長崎で原爆が落とされる前の一日を描いた秀作、黒木和雄の『TOMORROW 明日』を思い浮かべてしまった。

戦争という呪われた悪がなければ人々は毎日を平和に生きていくことができたのである。冷酷な事実の前には映画の力は及ぶべくもないが、本来あるべき人々の平和の営みの姿と人間の愚かさを秀逸に描写しており、秀作誉れ高い作品となった。

(評価:★4)

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