[コメント] タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密(2011/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
今作でもスピルバーグのイカレっぷりは健在だ。あれだけ撃たれてもダイイング・メッセージをギリギリ残せる程度にしか出血しないエージェントもおかしいし、そもそもそんなに「血」を避けたい(万人が観られるものにしたい)のならそういう展開にしなければ良いのにとも思うが、これは『E.T.』20周年記念特別版で主人公たちを追いかける警察官の持つ銃を、わざわざ無線機に差し替えて緊張感を削いだ近年のスピルバーグならではの「歪み方」と言うべきか。『プライベート・ライアン』、『ミュンヘン』ではあれだけのことをやっていたのに・・・、良くも悪くも振れ幅半端無い。
あと、握手した手がラクダに乗って歩く山道へと変わるなどの場面転換もどうかしてるし(これは褒め言葉)、バイクで突っ込んで壁に軽くぶつかっただけで真っ二つになる建物もどうかしてる(これも褒め言葉)。
終盤の3枚の羊皮紙争奪戦は、感情論と懐古趣味を排して言えば、『インディ・ジョーンズ』や『カリオストロの城』のアクション・シークエンスを上回らんとする勢いだと言わざるを得ない。これがCGでなければ(CGの力を多かれ少なかれ借りなければ)表現し得ないという事実は悲しいものの、しょうがない。映画はまだ進化している。脳内美化された「あの頃」は良かったと言っているばかりでは虚しい。
しかし、壮絶な器物損壊っぷりだったが、その罪は水不足の下町に(結果的に)水を回したってことでチャラにしてもらったのだろうか。それともFBIやインターポールの力を借りたか、もしくは何事も無かったかのようにトンズラこいたか。
実写映画では無いにも関わらず、こっそり(と言うわけでも無いが)制作に参加しているヤヌス・カミンスキーの力はやはり絶大で、ライティングは現実的でありながら同時に現実以上。ジョン・ウィリアムズの音楽も不可欠。
セーターの色や海の色など、とにかくみずいろが印象的な作品であった(水色を「みずいろ」と書いているのは、八神純子を意味も無く意識しているからである)。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。