[コメント] ヒューゴの不思議な発明(2011/米)
本作の良さは、モンパルナス駅構内の美術・装置に尽きる。最初の大俯瞰からのCG移動のシーケンスショットは、いかにもCG臭くてちょっと嫌だが、駅の裏側、構内コンコースにある時計台裏なんかが巧妙に造型されている。
時計台の文字盤や柵でマスキングされた画面から、主人公の見た目の窃視画面への切り返しがスリル溢れる。あとは、機械人形の極めてアナログ的な温かさは傑出したデザインだ。他にも鉄道公安官のサシャ・バロン・コーエンの義足が機械仕掛けだったり、マイケル・スタールバーグが持参する映写機だとか、或いは引用される『ロイドの用心無用』や『列車の到着』も含めて、機械への親和イメージが繰り返し登場する。一部機械仕掛けであるコーエンが、いずれ心を許すのはハナから自明なのである。
さて、中盤以降のメリエスへのオマージュは楽しくはあるが、ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)とイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)の冒険譚が放棄されたかたちになってしまい、この構成はよろしくない。また、駅構内での追いかけ合いの演出・カッティングはあまり感心しない。『幕間』のようなガラス版を使った仰角カット(まるで床下からの視点のような)も取ってつけたように繋がれる。
しかし、エンディングのパーティ場面のシーケンスショットには吃驚した。アパート外観から窓のすり抜け移動を経て、主要登場人物をワンカットの中で見せる。その滑らかさは、これも一部CGに違いないのだが、素晴らしい。
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