[コメント] ルート・アイリッシュ(2010/英=仏=ベルギー=伊=スペイン)
何もかも壊れてしまった男たちの空しい生き様に戦慄する。
戦争が金儲けの手段となり場となるとはどういうことか。イラク戦争の実態を淡々と告発しながらも、本作はその現実よりも、それに従事することが人に何をもたらすのか、覚めた目で見ているような気もする。
怒ることさえも許されない現実を突きつけたようなラストはあまりに空しく、やるせなく、絶望的な無力感にどっぷりとひたらせる。
「よくもまあここまで救いのない映画を」と思わずにはいられない。しかし、本当に救いはないのだろうか?ケン・ローチは何故、この映画を撮ったのだろう。本当に救いはないのか、と問いかけられているような気もする。その答えを見出せないままでは、本作を映画として楽しむことはできない。
メリハリがあり、臨場感にあふれた演出、物語の巧みな運び、どこをとってみても本作は映画として一級品だと思う。それでも、答えを見出せないままでは映画として楽しめない。あまりに無残であるが故に。
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