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[コメント] 海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE(2012/日)

カラダ一つと、勇気のみをもって敵陣に殴り込む大葉健二の至芸を堪能する。対するゴーカイジャーの、いつでもドヤ顔で敵を粉砕してゆく役柄とは、やはり住む世界が違うことも痛感させられるのだが。『ルパン三世』も『コブラ』も自信いっぱいの行動の裏には失敗を重ねた過去がある。それを匂わせない坊や・嬢ちゃんの群れでは、「よろしく勇気」の世界に住んでいるとは思えないのだ。
水那岐

完全に『ゴーカイジャー』の世界観に引き寄せた舞台ゆえ、仕方がないとは思えるが、あえて苦情を申し上げたい。

悪の組織「ザンギャック」の幹部連中の姿は、昔に見たなら凝り性な造形に感心しただろう出来なのだが、やはり完全な着ぐるみで表情が見えない敵というのはいまいち自分の趣味には合わなかった。「マクー」はちゃちな扮装の幹部たちであったが、顔が見える敵はそれだけで迫力が違う、という意味で画面映えする連中だったのだ。ドン・ホラーの血をひく敵などという者を出すのは嬉しいが、それが芸のない見世物怪人ではがっくりきてしまう。剣や飛び道具を使える体型にせめてしてくれ(もちろん『ジュウレンジャー』以降の輸出対策であることは知っているが…)。

やはり素顔の演技は人間の才能が確実に出る。大葉のアクションは日頃の訓練のたまものであろうが、60に手が届こうという年齢を思えば稀有な才能だ。そして、彼の存在そのものがイケメン俳優への強力なアンチテーゼであることは覚えていてほしい。美少年・美少女が悪いとはいわないが、やはり表舞台に立つ特権性を知り、演技を磨く訓練を怠らないでほしい、というのは、もう日本ではきわめて少数派になってしまった「アクション番組」の主人公たちには聴いてほしい苦言である。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)さなぎ YO--CHAN

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