[コメント] レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳(2010/中国)
殺人技術としての体技が強調されたオープニング・シーンは、巻頭ゆえのインパクトを差し引いても全篇で最良のアクション設計だったかもしれない。ピアノの腕前も披露するなどドニー・イェンはシーンに即して硬軟をよく演じ分け、武術家らしい鋭さを維持したまま役者としての安定感をますます増している。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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ドニー・イェンと戦友たちのふれあいや、スー・チーとのロマンス、裸に剥かれての痛々しい拷問、あるいはクラブ「カサブランカ」のショーなどに至るまで、アクション以外の各シーンもよく作り込まれている。
ただし、これは『イップ・マン』二篇などにも云えることなのだけれども、悪役がドニー・イェンと釣り合っていないのではないかという思いは拭いきれない。物語の推移において感情の沸点を記録するべきはドニー・イェンと木幡竜の一騎討ちシーンだが、アクションの興奮が最高潮に達するシーンとそれが一致していないように見える。その直前の一対多バトルか、初めにも述べた巻頭戦争シーンに匹敵するアクションの展開力がこの一対一の闘いには備わっていない。ドニー・イェン並の体技の達人か、もしくはそれこそアンソニー・ウォン級の大物でなければ、正しく最大の悪役を担うことはできないのではないか。「日本軍人」という悪役としての最高の肩書さえあればじゅうぶんと速断したのか、アクション設計とキャラクタ造型に詰めの甘さを残してしまっている。
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