これ以後の横溝作品に決定的なイメージを与えた石坂浩二の金田一探偵。作品に重厚さを与える犬神松子（高峰三枝子）や犬神佐兵衛（三国連太郎）などの豪華キャスト。いかにも胡散臭げな犬神家の面々。事件の連発で頭がおかしくなったのか、ガマガエルを撫でながら死体を発見する小夜子（川口晶）。ホテルの主人として原作者の横溝先生も登場しています。ホテルの女中役で出演していた坂口良子は今見ても可愛いです。

　殺人事件の舞台となる、日本の旧家の薄暗くておどろおどろしい雰囲気を醸し出す美術セットや「ルパン三世」の音楽を手がけた大野雄二の美しい音楽も秀逸です。ここなら凄惨な殺人事件も起こりそうだという説得力を強烈に発しています。

　金田一耕助は名探偵というより、この殺人事件の解説役みたいな感じですね。彼が事前に防げた殺人はひとつもないし、特に最後に松子が毒入りタバコを吸って自殺するシーンではにぶい私でも気付きました。金田一よ「しまったあああ！」じゃないよ、とっとと気づけ！