[コメント] 罠(1949/米)
ロバート・ワイズの最良作と云ってもいい良く出来た映画だ。まずは高低の感覚がいい。例えば、ロバート・ライアンがいる控え室が半地下にあり、彼がその窓から、通りを挟んだホテルの上階を仰ぎ見るカットなんて、視線の動きのある、焦燥感がよく表現されたカットだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あるいは、ライアンの妻オードリー・トッターが街を歩くシーン。公園のような場所の階段を降りて、高架の上に出るのだが、眼下の道路をバスや路面電車が通過する俯瞰に続けて、高架下からトッターを撮った仰角の繋ぎには驚く。また、トッターが舗道を歩くのを、結構高い位置から俯瞰の移動で撮ったカットもいい。
ただし、ファイトシーンはちょっとくどいと思った。ライアンが攻勢に転じて、セコンドらが顔色を変える、というのを繰り返し過ぎだ。しかし、クライマックス、試合が終わって無人のボクシング場を逃げるシーンは出色の出来。観客席側のドアを開け、外に出ると、唐突に、音楽が聞こえる、なんて見事な演出だ。通りに出てきたライアンを、ホテルの部屋の窓から見つけるトッター。駈け寄って抱擁すると、ライアンが「我々が勝った」と云う。これはたまらない終わり方。
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