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[コメント] 悪の教典(2012/日)

ヒャッハー!楽しー!バランスを欠いたバランスの映画。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ああ、そうか。『三文オペラ』の「メッキー・メッサー」が「マック・ザ・ナイフ」なのか。勉強になった。 しかし「マック・ザ・ナイフ」もエライ使われ方をしたもんだな。エラ・フィッツジェラルドおばさんの歌はねえ、なんかこうバーン!としてんのよ。「Lover, Come Back to Me(恋人よ我に帰れ)」なんて「別に帰ってこなくていい」くらいの感じだもん。

なんてことはさておき、この映画、『十三人の刺客』に似た三池節。 『十三人の刺客』の前半は眼を見張るような立派な時代劇だったが、これは立派なミステリー。アヴァンタイトルなんか鳥肌が立つほど。 ところが後半は(時折下品に陥りそうになりながら)ワヤクチャになる。バランスを欠いた映画。昔ほど酷いチャブ台返しじゃないけどね。うん、これくらいの三池感、好きよ。慣れたせいかもしれないけど。

カラスが2羽出てきますね。何だかいう死と戦争の神様に使えるだか何だかいう何だか言ってたな。グリとグラだっけ?(<全然覚えてない)。 私、この2羽のカラスを両親の生まれ変わりだと思ったんです、最初。 共に、伊藤英明演じるハスミンを含めて“三者”の関係なんです。 しかしカラスは1羽しか殺せなかった。三者のバランスが崩れた瞬間。ここから事態が少しずつ変わってくる。

同じように(微妙な)三角関係が登場します。『ヒミズ』でおなじみ二階堂ふみと『ヒミズ』でおなじみ染谷将太、あともう一人はどこかで見た気がするけど誰だか知らない男の子。 この三者の関係でも、ハスミンは一人しか殺せない。この崩れたバランスが決定打となる。 彼の崩れた精神バランスを象徴するかのような人間関係のバランス。

自殺に見せかけて屋上から落とされ息を吹き返した女の子。きっと彼女が、ハスミンが精神異常でないことを証明してくれるのでしょう。だからたぶん「To be continue」。これから事件の全貌解明と悪に対する制裁へと続いていく(と思いたい)。 まさか本気で続編を作る気じゃ・・・。

(12.11.23 吉祥寺オデヲンにて鑑賞)

(評価:★4)

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