[コメント] 009 RE:CYBORG(2012/日)
大山鳴動してなんとやら。思い切り広げられた大風呂敷は、粗筋だけ聞けば充分に世界規模ながら、その実大した衝撃をもたらさずに畳まれる。最後のオチといい、戦いのクライマックスで「彼」にぶつけられる言葉といい、唐突かつ悪い意味でセンチメンタルでファンタジック。絵だけは素晴らしく退屈しないが、いかんせんこの物語には納得できない。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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「終わらせなければ始まらない」との惹句がついているが、むしろ「始めなければ終わらない」との印象が強い。…始まっていないのだ。思い切り説明的なセリフの羅列だけでは、たとえば一見さんにとっては戸惑うばかりだろう。むしろ「009」の始まりを描くべきだった。神とか天使とかという、人間にとって重大すぎる存在を敵にまわすのには3時間あっても時間不足だ。それをするのならば2時間のプロローグは必要だろう。さもなくば9人の仲間意識、そして003と009のフィジカルな部分も伴った恋愛意識は理解できなくて当然だ。
まして、それまでにサイボーグたちが中ボスレベルの敵としか対戦しているように見えない本編を思えば、ラストでいきなりファンタジーに堕してしまうのには言葉を失う。絵の巧さにごまかされてしまうが、これは「神」をどういうものとして把握する物語なのかを知っていれば、こんな結末は求められないはずだ。これは非常に興を殺がれた。
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