[コメント] サチコの幸(1976/日)
解釈に問題あり。ヒロインが原作どおりの達観したオトナの女でなく、心からいつか来る幸福を待つ無垢なおぼこ娘にしか見えないところに、だ。純情娘だからこそこれは明朗青春路線として受け入れられるにせよ、人生の辛さを噛みしめて自立する覚悟はつちかえまい。作為的キャラの多さの中、少年たちの朴訥さはすがすがしい。
田中角栄の物真似をとおす鈴木ヒロミツ、クイントリックスのおじさん演技でつらぬく坊屋三郎らは時代に密着しすぎで、今ではウットウしい。悠木千帆ももう少しでイロモノ俳優の仲間入りするところと見えたが、空気は読まずに自分のキャラを押し通していることに気づく。それはそれで問題だが、まあ目立ちすぎることはなかった。
それにしても、予算のなさが充分に伝わってくるセットの悲惨さは甚だしい。そのなかでの昭和26年設定に説得力の補強を為すのは大変ではあったろう。そのあたりは評価できる。
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