[コメント] 真昼の決闘(1952/米)
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名作の誉れは高いけれども,最後までストレス溜まりまくりで,後味もすっきりしなかった。主人公のそういう苦悩を描いた西部劇なんだと言われればそれまでだけど,最初から最後までスカッとしないこの作品を何度も観たいとは私は思わない。
むしろ,多くの業績を残した名保安官が苦境に立ったときに,町民や仲間がどういう態度をとるかという一点に焦点を当てて,社会派西部劇と割り切って観る方が面白いかもしれない。
味方になってくれそうな仲間が途中からどんどん脱落して,主人公が次第に孤立していく様は,悪党一味がそれだけ恐ろしいのだから仕方ないと言われれば確かにその通りなのだが,何となく主人公に人望がない(というか主人公のやり方に,みんなが納得して着いて来てくれない)ように見えて,仕方がなかった。
勝ち目のない無法者が復讐に来るのだから,正義や建前だけでは誰も犠牲を払ってまで味方してくれないだろう。それなら,もう少し作戦を練ったり,勝算があることをみんなにアピールしても良かったのではないだろうか?
それにしても主人公は,4人対1人で戦わざるを得ないはめになったらなったで,もう少し戦い方ってもんがあると思うんだけど…。あらかじめトラップを作っておくとか,地の利のある場所に誘い込むとか。極悪人4人を一人で相手するんだから,そのくらいのことしても許されるはず。かといって,主人公は,正々堂々と真っ向から勝負するかと思うと,いきなり後ろに回って声をかけると同時に撃ったりしているし。
それならいっそのこと,宮本武蔵ばりに,はじめから屋根の上かどこかに隠れていて,真っ先にボスを狙撃したっていいと思う。どうせ相手に殺意があることは明らかなのだから。
それとも,この時代って,相手が銃を抜こうとする前に撃つのは卑怯な行為だという(日本の武士道と相通ずるような)一種の道徳的なルールとか作法みたいなものがあったのだろうか? でも,声だけかけておいて,その相手が銃を抜こうとする前に撃つのも,正々堂々としていないという点では大差ないような気がするし,それ以前に,この対決って,はじめから正々堂々の決闘ではないわけだし。
どっちにしても,この主人公の行動は何とも間が抜けていて,実にすっきりしない。『ペイル・ライダー』(クリント・イーストウッド)の主人公プリーチャー(牧師)を少しは見習ってほしい(^_^;)。
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