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[コメント] ゼロ・ダーク・サーティ(2012/米)

ラストシーンの涙に意味はない。ただこぼれてきてしまった涙だからこそ考えさせられるし、作品の重さを感じられる。
deenity

最後の涙を流すシーンがとても印象に残った。しかし、何に流した涙なのか、どういう気持ちなのか、ということをしばらく考えさせられた。

長い年月を捧げた、親友が殺られた、女性だからという偏見があった、いろいろ積み重なった故のあの執念。それが実った。この時の感情というのは、正直喜びと表現するには浅はかで、達成感と表現するにはズレを感じる。安心や解放感も間違ってはないと思うがしっくりとはこないし、目的を失った喪失感というのはまた全然違ってくる。多くの人を失った悲しみでもなければ怒りでもない。ではラストを飾った涙は何だったのか。

そう考えた時にこの作品にいろんなシーンが思い浮かぶ。拷問シーンを見ても動揺せず、上司との溝がありながら真正面からぶつかり、敵の銃撃を浴びても引かず、アジトまで追いつめているのに赤ペンでガラスに日数を刻むじれったい日々。少しずつ執念が宿るマヤの瞳には強い覚悟を感じたし、ジェシカ・チャステインの役に対する気持ちを感じた。

そう思い返した時、最後に流した涙に意味はなく、ただ感情どうのという以前にいろんな気持ちが交錯し合い、思わず自然にこぼれてしまった涙なのだと思えた。

(評価:★3)

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