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[コメント] 俺俺(2012/日)

三木聡作品だけあって退屈はさせないが、悪い意味で小ぢんまりとまとまって心が高揚しない。不条理劇を貫くならばさりげなさに帰結するルーティンワークの結果におさまるのではなく、カオスの濁流に呑まれてしまってもよかったのではないか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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亀梨和也はたしかに予想よりは上手で、それこそ『仮面ライダー電王』の佐藤健もかくやという別人格を並べてはくれるのだが、どうにも凡庸な結末におさまったのは彼の才覚の限界もあったのでは…と思わされる。俺の果てしない増殖が見どころなら、世界中の人間すべて俺、となって老若男女の亀梨和也が主人公をめぐって奔流となって襲い掛かるくらいなら、たとえグダグダでも面白かったように思われる。重要人物とおもわれた内田有紀であれ加瀬亮であれ、が結局亀梨の行動上の枷にさえならないからこそのハッピーエンディングならなおのことだ。この映画が「俺」を中心に地球が回る物語ならば、そのケリのつけかたはもっとスペクタキュラーなものであっていいということだ。「削除」による劣化版「俺」のジェノサイドとか、血沸き肉躍る結末になると思うのだが、結局はゆるい終わり方に堕してしまったことは、それはやはり現在の三木ゆえなのだろうか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)死ぬまでシネマ[*]

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