[コメント] オブリビオン(2013/米)
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一つだけ設定上の美点を挙げておきたい。なぜ侵略者は意思に盲従する機械ではなく人間のクローンのペアを自らの尖兵にしたのか。テットが再三発する「最高のチームですか?」という質問。要は人間の絆や愛といった「感情」を効率向上のための「機能」として評価したからなのだろう。その傲慢さと短絡化する侮りが「愛の家(笑)」のような「偽りのタワー」の空々しさに表れている。一方、その「評価」は「恐れ」でもあったわけであり、だからこその感情のよりどころである本当の記憶の抹消と偽の絆のインプラントであったというわけだ。そして記憶の復活こそが反撃の契機となる。つまり、「人間は、人間性ゆえに利用され、人間性ゆえに勝利する」という筋運びである。
こういう映画には☆4をつけたくなるたちで、記憶が絡めばなおさらなのだけど、設定を情念とアクションに結び付ける技量は、この監督は皆無とみた(トム・クルーズが爆風で吹っ飛ぶシーンとか、心底ダサいですよ)。巷間言われているビジュアルも情感の器になり得ていないため、空疎極まりないと感じる。依るべき土台が貧弱で思想がないのでトムの顔芸に頼る体たらく。サービスシーンには失笑。ただしオルガさんは激カワである。
トム・クルーズはいつも通り天然で演じており、時に滑稽なリアクション演技が「人間性」という手触りをところどころ残す・・・かもしれない。どの映画の、とはあえて言わないけれども、サム・ロックウェルを見習うとよい。
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