[コメント] インポッシブル(2012/スペイン)
リゾート・ホテルに接近する大津波の俯瞰カットは『ヒア アフター』に酷似するが、水死の恐怖よりさらに即物的な、高速で襲いかかってくる漂流物の危険がじゅうぶんな上映時間を費やして執拗に写生される。ナオミ・ワッツの傷痍の特殊メイキャップもまたそうであるように、痛覚の再現力が際立っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この類の映画、それも実話を基にしているというのならなおのこと問題になるのは、主人公一家が生き延びて再会してハッピーで、それで本当にハッピーなのか? ということだ。そこでフアン・アントニオ・バヨナは実にスマートな解決法を示してみせる。ラストの離陸直前のシーン、ワッツの腕に記された「別人の名」が、そしてユアン・マクレガーとトム・ホランドが目を落とす「紙片」が、「主人公」になりえなかった無数の犠牲者の存在を示唆して、商業映画に求められるハッピー・エンディングの形式を壊さぬままに苦く複雑な余韻を添えるだろう。
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