軍国主義の日本の時代。災害に戦争に恐怖し、それでも歯を食いしばって立ち向かっていった日本。強い覚悟と気持ちが日本を突き動かしていた。しかしそんな日本国の崩壊を描いたのがこの作品。主人公の二郎は幼い頃から飛行機の設計を夢見て、その夢を叶える。二郎は愛する人もできる。でもその愛する人は守れない。夢を乗せた飛行機は、戦地へ飛んで人を乗せて帰ってくることはなかった。作品を通して、痛いほどストレートに伝わってくるメッセージ。そんな時代を生きてきて、今生きている日本人に何が残っているのか、何を学び、どう生きていくのか。これに限ると思う。ジブリ映画は毎回メッセージ性があり、子ども達に何を伝えるかを大切にしている。この作品は今までのどの作品よりもストレートに、どの作品よりも強い想いが込められた作品だと思う。戦争を知らない子ども達にもいろんなことを考えさせることができる。だからこの作品を終えて引退会見を開く宮崎駿監督にも納得。

ただやはりジブリ映画に壮大なファンタジーとひしひしと伝わってくるメッセージ性を求めていた私からするとどうしても不完全燃焼な自分の気持ちがあり、物足りなさにもやもやしてしまった。だって正直この映画、頑張れば実写でも描けるじゃん！あまりにも現実的で夢がなく、学ぶもの、考えさせるものがあったとしても、これをわざわざジブリでやる必要がない、アニメにする必要がない、もっと別の伝え方をしてほしかった、という思いがあり、この映画には★３が妥当かと思えてしまった。

でもまあ何はともあれ多くの傑作を作ってくれた宮崎監督、本当にお疲れ様でした。