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[コメント] 25年目の弦楽四重奏(2012/米)

戯曲の原作でもあるかのような充実した芝居を誇り、フレデリック・エルムズ撮影の安定感は画面の独善的な突出を避けつつ、映画化の意義を静かに主張するだろう。各々の加齢のためハンサム成分の差が相対的に縮小し、クリストファー・ウォーケンの顔面はいっそうクリント・イーストウッドに接近している。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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カルテットの面々とは大きくキャラクタ性を異にし、いささかコメディ・リリーフ的とも云える仕方で立ち回るイモージェン・プーツが淀みかけの空気を掻き回して楽しい。ただし、劇も中程を過ぎると彼女も物語の本筋に取り込まれてしまう。作劇として、それは留保なしに巧い。だが彼女にはあくまでもカルテットとは離れたところで新鮮な空気の供給役を務めてほしかった、という憾みは残る。

観客としても上映時間の都合があることは重々承知しているとは云え、クライマクスの演奏シーンがあまりに無分別にハサミを入れられているのには閉口する。演奏の連続感がズタズタに損なわれており、カルテットの人生/関係性と楽曲を二重写しにするというこの物語の存在意義たる仕掛けすらご破算にしかねない。

(評価:★3)

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