[コメント] サイド・ストリート(1950/米)
グレンジャーが、ほんの出来心で、弁護士事務所のキャビネットから金を盗んでしまったことから、あれよあれよという間に意外な展開、別の犯罪に巻き込まれるクライムムービーだ。意外な展開を、ネタバレにならないと思われる程度に書くと、2百ドルと思って盗んだら3万ドルだった。怖くなって、弁護士事務所へ行き正直に告白し返金しようとすると、そんな金は知らないと云われる。一旦、3万ドルを小包にして、預けていたバーの男は姿を消しており、小包の中の金も消えている、といったグレンジャーの行動や思惑が、どんどんハズレていく展開なのだ。さらに、殺人事件の容疑者に仕立て上げられる。もともと、彼の犯罪行為が発端なので、言葉遣いとしては、少し違和感があるかも知れないが、巻き込まれ型のサスペンスとして、とても面白く作られているのだ。
本作の悪役は、弁護士とつるんでいる出所したばかりのギャング−ジェームズ・クレイグ。彼の悪行の演出はちょっと弱いか。いつも悪役の多いチャールズ・マックグローは、本作ではポール・ケリーの部下の刑事を演じている。警察無線で指示する場面など彼のガラガラ声がよく目立つ。また良い女優が3人出ていて、まずは、ヒロインと云っていいキャシー・オドネル。彼女とグレンジャーは、ニコラス・レイ『夜の人々』のコンビでもあり、見る前はオドネルも犯罪者の役なのかと思っていたのだが、本作ではグレンジャーの貞淑な妻役なのだ。しかし、『夜の人々』とはまた違って、とても可愛いらしい。あと、冒頭ちょっとしか登場しないが、フライシャー『札束無情』のアデル・ジャーゲンスが出ている。彼女の潔い退場のさせ方には感心した。そして、終盤、クレイグの情婦として出て来るのが、ジーン・ヘイゲンだ。酒場の歌手という役で、しっとりと「Easy to Love」を唄うのだ。『雨に唄えば』の彼女の扱い(悪声で唄えない大女優)に反して、本当はこんなに唄えるのか?吹き替えじゃなきゃいいな、と思いながら見たのだが、後で調べると、やっぱり吹き替えでした。ともかく、彼女の出番は思いの外多いし、酒場でのグレンジャーとの会話シーンも濃密で、キスシーンまであり、この扱いは私には嬉しかった。
クライマックスは、港の倉庫街からビルの谷間(ウォール街か)でのカー・チェイスシーンで、この当時は今と違って、カークラッシュまでは描かれないので、迫力は限定的に感じられる。また、悪役−クレイグをやっつける演出も、イマイチ驚きのない画面造型で、もっと暴力の爆発があっても良かったのではないだろうか。ラストはナレーションを勤めていた警部補のポール・ケリーが締めくくる、という落ち着きの良い終わり方だが。
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