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[コメント] 飼育(1961/日)

「歌を歌っていた」黒人兵が、その時全く村民の注意をひかなかったことが惜しまれる。つまりかれらの「飼育」していたのはケダモノではなく、立派な文明の享受者だということはきちんと描くべきではなかったろうか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それなりの長さを持ったこの物語のなかで、黒人兵はついぞ生き生きとした素顔を見せなかった。全く人間臭い匂いがしないのだ。だから、「畜生」の「黒ん坊」は早く死ねばいい、というこの小さなコミューンの構成者のことばによってしか、彼を推し量れないのだ。

そうではない、小村の住民たちの小賢しさや残虐さがまかり通ってしまう戦慄がこの物語の骨子なのだ、と言われれば一応納得もしよう。それでも黒人兵が文化や文明のなかに確実に生きている存在なのだ、と観客に悟らせることによって、この小村の罪深さはより際立って伝えることができたのではないか、とこの意欲作には自分は残念さを感じてしまう。

(評価:★3)

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