[コメント] オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013/米=独=仏=英)
吸血鬼が主人公なので完全なる夜の映画だ。だが吸血鬼映画には、この「日没から夜明けまでしか活動できない」という約束事を厳密に守る映画とそうでない映画がある。(『トワイライト』シリーズとか。)本作はジャームッシュなのだから、当然ながらこの約束事を活かしてプロットを構成し面白い「夜の画面」を構築する。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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飛行機旅行の旅程(特にトランジット)に気を使うなんて部分もクスリとさせるが、勿論ジャームッシュなのだから、これは全編に亘り、ニヤニヤしながら見る映画であり、そして同時に抜群にカッコいい画面が連なる映画なのだ。
冒頭の星の回転からレコード盤の回転に重ね、ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルストンの真俯瞰での回転へと続く画面の連鎖は、かなり奇抜な、でもちょっとカッコいいトップシーンだが、何と云ってもミア・ワシコウスカが加わってからのクラブのシーンがカッコいい。こゝを含めてデトロイトの夜の光がいい。自動車での散策や移動シーンは、例えば『ダウン・バイ・ロー』や『ナイト・オン・ザ・プラネット』を想起させる車中からの見た目のカットが続く。撮影者は変わってもジャームッシュの刻印がこゝにあると思わせる。(あゝロビー・ミューラー!)
また、デトロイトの暗い夜に対比するようにタンジールの夜は金色のルックで統一されていて、この造型は少々人工的に過ぎる感はあるのだが、しかしタンジールのシーンに登場する老吸血鬼ジョン・ハートがたまらなくいいのだ。この人は若い時から最近まで(『裏切りのサーカス』なんかでも)あまり良いと思ったことが無かったのですが、本作のジョン・ハートは大好き!全編で最も気に入ったのは、彼の恍惚の表情。こゝが一番笑った。
#シャーベットが美味しそう!
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