主人公役の中島健人が、眼鏡で安易な役作りをしているが、酪農風景と相俟って、この映画に落ち着いたペースを確立させている。ヒロインも広瀬すずなら或いは破壊しかねなかったものも、姉=アリスであれば範疇。吹石一恵もあれ以上見せ場があれば調和を乱すが、アリスの谷間は凝視しても 吹石のボディコンを誰もコンシャスしない(野郎観客以外)。

事程左様に、豪華多彩な出演陣が観客がとっ掛かるトゲを出さずに処理されていくので、何時の間にか美味しく平らげてしまう。真剣に問えば深刻なテーマを含む題材を、或る意味淡白に仕上げてしまったのだが(屠殺の光景を若い役者達が神妙に見ている場面の塩梅等々)、これも職人芸か吉田恵輔監督、大したものだ。