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[コメント] 変態家族 兄貴の嫁さん(1983/日)

ロマンポルノ時代の周防正行が撮った「それでもボクはやってます」とでも言うべき意欲作だが、「小津作品のパロディではなく、真似をした映画」だと語る彼に対し、そのように受け取っていないであろう世評が全てを物語っている気がする。
ナム太郎

晩春』の原節子が嫁いだ先が変態家族だったら…という設定は面白いが、残念ながらこの時点では習作の域を出ないものになっていると思う。

だが、観客というものを意識せず、ただひたすら自分のためだけにこういった映画を作ることができたのは、下元史朗を攻めまくる麻生うさぎばりに気持ちよかっただろうなという嫉妬心は残るし、これを機に一気にスターダムへと駆け上がったその後を考えると、これはまさに「やったもの勝ち」の勝負の世界を見ているようでもある。

その意味では、たとえそれが不完全な形であったとしても、日本映画界にとってはたいへん重要な意欲作であったと言えるのかもしれない。

***

余談だが、当時の日活は300万だったら300万という制作費の使いみちの全てが監督に委ねられており、その残金がいわゆる監督料(ギャラ)であったそうだが、この作品に入り込んでいた周防正行のギャラはマイナス10万円だったそうである。つまり制作の段階で赤字を出していたというのだ。

のめり込んだら妥協を許さない彼らしいエピソードだと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク

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