[コメント] あの頃、君を追いかけた(2011/台湾)
クー・チェンドンとミシェル・チェンは席替えを機に距離を縮める。さもありなんだが、それが「隣同士」ではなく「前後の縦並び」の席であることで微妙なる情緒が育まれる。もっとも演出家はそれについて自覚的でないようで、というのは彼らが初めて「横並び」になる瞬間の感動が演出されていないからだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
観客が劇中時間の経過量の実感を作中人物と共有できないのも大きな弱点だ。高校時代の仲良しグループが卒業から一〇ヶ年ほどを経て久方ぶりに再会する。以前とは変わった/変わらない関係性に対する感慨を彼ら作中人物はそこで抱くことができるだろうが、時間経過の演出が無策を誇っているので、観客としては長めに見積もってもせいぜい数十分ぶりの再会のようにしか感じられない。
だからクライマクス、ミシェル・チェンの結婚式におけるキスシーン直前でちょいと感動的な音楽を伴ってフラッシュバックが巻き起こったところで、こちらはしらけのムードが益々増すばかりだ。と思いきや、次第にそのフラッシュバックに「偽りの」もしくは「願望の」あるいは「ありえたかもしれない」過去の情景が紛れ込んでくる。巷間でも評判らしいこの仕掛けには正直申し上げて不覚にも目頭を熱くしてしまった。というわけで、相も変わらず私はチョロい観客である。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。