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[コメント] 上海ジェスチャー(1941/米)

いやはや矢張り、聞きしに勝る素晴らしさだ。まずは、このカジノの俯瞰・クレーン移動のビジュアルが圧倒的。こんな映像、他で見たことない、というものだ。スタンバーグ映画の美術は常に想像を絶する。
ゑぎ

 人物造型では、まずは主演スターであるジーン・ティアニーに対する特別な光(照明)の扱いに陶然とさせられてしまうのだが、聡明で如才のない人物として描かれると思いきや、ギャンブルにはまって、ひどい俗物となってしまう、そのギャップにも驚かされる。しかし、カジノの女主人で中国人を演じるオナ・マンソンという人が、真の主役として恐るべき貫録、一世一代のキャラクタリゼーションを見せる。脇役では、ウォルター・ヒューストンヴィクター・マチュアもいつもながらの存在感だが、後半の主要人物が召集されたパーティシーンのみ、マンソンの側近役として出てくるマリア・オースペンスカヤも強烈だ。レオ・マッケリーの『邂逅』の、あの可愛らしいお婆さんが、終始渋顔で一言もしゃべらない、奇妙な中国人老婆を演じ、本作の異様な雰囲気に貢献している。

#中国人苦力を演じているマイク・マズルキは本作がデビュー作とのこと。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)袋のうさぎ

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