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[コメント] フューリー(2014/米)

これがウォーだ!と言わんばかりのウォー映画。あれがウォー? たぶんウォーだろう。きっとウォーなのだ。ウォーの水中花だ。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ♪こ・れ・が・ウォー。あれもウォー。たぶんウォー。きっとウォー。

 テーマはわりと明快だったように思う。戦争が人を兵士にする。“いかにも戦争に向いてない男”の人物設定とエピソード描写が陳腐で、辟易させられる点を除けば、悪いことない。アメリカ兵の自己犠牲的な崇高な行動が描かれたのも良かった。

 問題点は、人が人を殺すことの生理的な嫌悪感を戦争の悪と描いていること。

 まず第一に、人が人を殺す際になにをどう感じるかは人それぞれだろうが、どう感じようが感じまいが、人を殺すことそのものが悪である、というのは倫理として譲れない一線だ。

 第二に、人が人を殺すことになるから、戦争=悪、なのではない。相手や相手国への尊厳を無視して、破壊的な力をもって強制的に意思を押しつけること=戦争、そのものが悪だ。戦場で兵士が殺し合う、もしくは人が死ぬのは、戦争の悪に含まれる一部である。

 この点に関して、ナチのSSを、特に根拠も示さず一方的に憎悪をぶつける対象と描いているのが気持ち悪い。現場の一線の兵士が、戦っている相手はドイツという国家であるのに、ドイツ国軍とナチSS を明示的に区別して認識し、ことさらSS だけを憎しみの対象とする、なんということは、あまりあり得なさそうに思うからだ。

 こういうことを書く必要があるか。書いとかないと、この種の価値観に侵食されたようで鬱陶しいのだ。

75/100(14/12/13見)

(評価:★3)

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