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[コメント] 幕が上がる(2015/日)

原作・平田オリザ、脚本・喜安浩平と聞いたときの期待感からすると幾分か残念。ももクロの5人が頑張っている分、本広克行が遊んだ部分が悪目立ちしてかなり残念。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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いわゆる「アイドル映画」と言われるものが、予告編レベルで明らかにわかる大根演技に彩られる事も多々ある中で、ももクロの5人が完璧とは言わぬまでも不自然さを感じさせないレベルの演技が出来ていることは評価すべきと思う。そのおかげでもって、ファンはもちろんの事、そんなに彼女らの事を知らなくても大枠では楽しめる作品になっている。

原作、脚本の人選を見ても間違いがない。青年団の平田オリザ、ナイロン100℃・ブルドッキングヘッドロックの喜安浩平、演劇界のど真ん中を進む二人がタッグを組んで高校演劇を描く。本来、間違える要素がないのである。360度どの角度から見ても隙のない作品が出来る・・・、はずなのである。

しかしながら、そこは「おちゃめ」な本広監督。余計なサービス精神を発揮して観客の映画への没入を見事に妨げてくれる。

それは、高橋さおり(百田夏菜子)以外の演劇部4人の身内キャスティングだ。

「ガキの使い」見たのか知らないが天龍源一郎持って来たり、意味もなく鶴瓶さん出して来たり、暗転する中で白い歯が光る松崎しげる出したり、挙句に本広監督がファンという話は知っているが、北海道テレビ「水曜どうでしょう」の藤村ディレクターを出してきたときには、もう呆れた以外の感情が出てこなかった。(どうでしょう大好きですが)

このレベルのメタネタは、映画を振り返った時に「ノイズ」としてしか機能せず、わかってもわからなくても邪魔でしかない。個人的にはここが最大の地雷となり、「予想ほどひどくはなかった」レベルの感想に留まった事を明記しておく。

まぁ、暴投暴投で全く試合を作れなかったピッチャーが一定の制約のもとに何とか試合を作ったと考えれば悪くはないが、完封出来た試合をギリギリのクォリティスタートにしかできなかったと言う方が比喩としては妥当な出来であった。

(2015.3.9 シネプラザサントムーン)

(評価:★3)

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