[コメント] 博士と彼女のセオリー(2014/英)
巻頭から露骨に頻出する「回転」「円」のモティーフは取り立てて好ましい効果を結ぶでもないが、ブノワ・ドゥロームが目いっぱいロマンティックに撮り上げた屋外夜会は「回転木馬」「花火」にも彩られて、全篇で最良のシーンだ。幸福・明朗な場面は総じて快調だが、その期間が過ぎ去ると失速を免れない。
エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが初めて出会うパーティのシーンもいい。おずおずと会話を重ねながら互いに好意を育み始めるさまが手に取るように伝わってくるあたりは何とも気味のよい演技・演出である。また、そこで掛けられていたダンスナンバーがMartha & the Vandellas“Heat Wave”であったのも私の嗜好を大いにくすぐるところだ。もちろん、IMDbのAnachronismsに関するGoofsに「このシーンの時点で“Heat Wave”のレコードは発売されていない」という記載を新たに付け加えることもできるが、さすがの私もそこまで野暮天の道を究めてはいない。(先述の屋外夜会は一九六三年六月に開かれた「メイ・ボール」だそうですから、パーティで二人が出会ったのは当然それ以前であることが知れます。“Heat Wave”の米国における発売は一九六三年七月です)
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