評価は３にしたが、個人的にはかなり不満が大きい作品である。

まず、横浜監督にこういった「普通」の話を振る意図はどこにあったのか。横浜監督には突拍子もない世界を構築する人というイメージがあり、意外性はあるかもしれない。しかしながら本作を見る限り適性があるかは疑問。麻生久美子が出ているシーンは概ね良かったが、特に劇的なことが起こらない世界を描くのであれば、他の監督の方が良かったのではないか。荻上、三島の両監督に適性があるかは別の議論ではあるが、あえて横浜監督をぶつける必要性を感じなかった。

そして、安田さんという幅の広い演者を抜擢した割に、特に面白みのない役しか充てないのはどういう了見なのか。原作ものであるし、際物ばかりでは世界観が破壊される可能性が高いのは承知しているが、本作の表現では亀岡が色々な場所で重宝されることに関して説得力が感じられない。現実世界で演じている偽変態仮面のインパクトに負けてどうするという話である。

折角なのでもっと色々遊んでもらいたかったと思う。その意味で残念な作品であった。

（2016.02.11 シネギャラリー）