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[コメント] 去年の夏 突然に(1959/米)

全体に演劇臭い嫌らしい映画なのだが、しかしモンゴメリー・クリフトキャサリン・ヘプバーンの豪邸へ最初に訪問するシーンの会話劇から、カッティングは冴えわたる。オフで女の声だけ聞こえると思うと、ヘプバーンが部屋の中央の一人乗りエレベーターでまるで降臨するように登場する、というのは可笑しい。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ヘプバーンとエリザベス・テイラーの二人の科白の中で、度々「Suddenly, Last Summer」という言葉が出るのもドキリとする効果がある。リズ・テイラーは登場とそこから続くクリフトとの面談シーンでも圧倒的な魅力を発散させるが、しかしラストの回想シーンの彼女が最高だろう。回想シーンは画面の右手にテイラーのアップを映し、左側で回想シーンを見せる二重露光で処理される。回想に入った時点で例によって「科白だけの方がいいんちゃうか」と思い少しがっかりしたが、いやはやテイラーの白いワンピースの水着姿はあるし、空き缶などで作った打楽器を持って集まってくる異様な少年たちや老婆と骸骨のイメージ、あるいは露光オーバーぎみの白い世界等スペクタキュラーな狂気が見事に造型されている。矢張りジョセフ・L・マンキウィッツは脚本家ではなく映画監督だ。

#テイラーの母親はマーセデス・マッケンブリッジ。ステレオタイプな、聡明さを欠いた母親を演じており、いつもの怖さはない。これはちょっとがっかり。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)動物園のクマ[*]

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