[コメント] イーダ(2013/ポーランド=デンマーク=仏=英)
モノクロ・スタンダード・固定カメラ・浅い被写体深度でビシビシ構図が決まる画面が気持ちいい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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舞台は1962年。メル・ブルックスが「ヨーロッパの玄関マット(みんなが踏みつける)」と呼んだポーランド。
結論から先に言えば、自分のルーツを知り、今後の身の振り方を考えるという、真っ当な自分探し物語。
真っ当すぎる点、エピソードが不足し一本槍な点、自分が感情移入する共通項が見つからない点などの理由で、いまいち気持ちが高揚しなかったけど(だからこの点数)、映画の完成度は非常に高い。
スタンダードサイズの画面をほぼ3分の1程度しか使わない画面。この構図を観ているだけで気持ちいい。 主に室内(修道院)では、人物の頭上を広くとり、まるでそこに目に見えない何かがそこに存在しているかのよう。
冒頭、人の手でキリスト像が修復され、庭に運ばれます。 舞台は修道院ですが、この段階で「神の不在」というか、結局は「人間の問題」であることを暗示します。 さらに、キリスト像を修復する主人公が、カットを挟んで、キリスト像の右側と左側に配置されるんですね。これはおそらく、今後、彼女の進むべき道が2つ出てくることや彼女の中にある二面性が暗示されていたのです。
ラストシーンで初めて固定カメラから開放される点など、観終わってみると、冒頭から周到に計算されて作りこまれた映画であることが分かります。
(14.08.17 渋谷シアター・イメージフォーラムにて鑑賞)
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