[コメント] 彼は秘密の女ともだち(2014/仏)
アナイス・ドゥムースティエには自意識に汚染されていない少年のような屈託のなさがある。屈託のなさゆえに初見では平然とダヴィッドを変態扱いするのだが、すぐに全性愛の本能が発揮されてクローゼットの前でキラキラする。
性欲の赴くままにダヴィッドを唆すので、何かが進捗するよろこびが前半では溢れている。逆に悩まないから、何か深刻なものが行き当たりばったりに短絡的に追及されるばかりで、しかも互いの両性愛が主題を輻輳させて問題の在り処を曖昧にする。他方で、この混雑具合はアナイスの人格に資している面もある。彼女のヴィルジニアに対するキラキラにはセクシャリティとともに弟子を育てる教官のまなざしがありまた母性もある。MacBook、ロードスター、女の小走りジョギングフォーム等々、凡庸そのものなガジェットも彼女の屈託のない造形を好ましく表現している。
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