[コメント] FORMA(2013/日)
何かが起こっているし、何かが渦巻いている。それはきっと誰でもわかるが、じゃあ何なのかは最後まで読めない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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いわゆる「自然な」演技アンサンブルとほぼFIXで対象人物を突き放したように捉える画面レイアウト。そっけなくみえる語り口が実はクライマックスに向けて周到に計算された罠だということは多くの人が序盤で気づくはずだが(たぶん、梅野渚と光石研の最初の台所のシーンで)、では何が待っているのかは予想できず、それが強烈な推進力となって長尺を一気に見せる。
「決定的な一瞬は常にフレームの外で起こっている」というのが繰り返される(あるいは、繰り返されていたのを後から観客に気づかせる)ことで、一見「自然」に見える光景/人物同士の関係性が、すべて不穏なバランスで構築された「わざとらしいもの」に反転するスリリングさ。だがそれは同時に、この映画自体に拭いがたくある「わざとらしさ」をも暴き出す諸刃の剣ではないかとも思うのだが(特に「死」の瞬間をフレーム外に追いやったとき。あそこだけは敢えてフレーム内でやるべきではなかったか?)、見ている私の緊張が最後まで途切れることはなかったのは事実なので、そんなに気にする必要はないかなー。
でもまあ、これ宣伝しづらい映画だよね。
(2015.05.16(土) 池袋・新文芸坐にて鑑賞)
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