[コメント] 夏をゆく人々(2014/伊=スイス=独)
漆黒に揺れる光。闇のなかを彷徨い現れた車。男は驚いたように言う「こんなところに家があるぞ」。もう一人の男が応える「いや、昔からあったさ」。そして、忘れられた者である、世界の終りを察知していた父と、世界の存在に気づいた娘のひと夏の物語は始まる。
父親への畏怖心と拘束の息苦しさ。妹たちへの責任と仕事への自負。母親の嘆きと家族崩壊の予感。そんな、11歳のミツバチ少女・ジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)のルーティンをゆさぶる魅惑的な司会者(モニカ・ベルッチ)と、無口な同世代の異性であるドイツ人少年。
少女の揺れる心は、見逃してしまいそうなほど繊細だ。弱冠33歳のアリーチェ・ロルヴァケル監督が紡ぎだすわずか20余年前の生地の記憶は、まるで今のイタリアでは、すでに忘れらえた人々の過去から連なる思いが、息を吹き返したかのように瑞々しく描かれる。
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