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[コメント] イタリアは呼んでいる(2014/英)

ODS上映なる催しにまで親しむようになった現代の観客である私たちは、およそ映写幕に何が投影されようとも驚くことはなくなったはずだが、しかしこのような「テレビ的」「イベント的」「広告的」のいずれでもない虚実混淆の動画像が「映画」のルックを持って立ち現れてくることには仰天を禁じ得ない。
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一言で云えば、映画における「画面」と「出来事」の乖離が甚だしい。ここでの出来事とはいいかげんな誂えの筋書きを持った旅行記程度のもので、しかも、あろうことか笑芸人がパーソナリティを務める深夜ラジオのごとき風情でそれが演じられてしまう(物真似合戦!)。もっとも、この作品の起源がテレビ放映用に拵えられたシットコム・シリーズにあると聞けば、繰り広げられる出来事に納得を見出すこともできるだろう。しかし、それにしては画面があまりにも映画然としてはいないか。要するに、これは、これほど立派に撮られる必要があるとは思えないのだ。このあたりはひょっとすると洋邦のテレビ観の異なりに原因が求められるのかもしらないが、ともあれ何とも不可思議な佇まいの「映画」である、としか云いようがない(あるいは、あらかじめ前作『スティーヴとロブのグルメトリップ』や『トリストラム・シャンディの生涯と意見』を見ていれば、もっとよく呑み込めたものだろうかしら)。

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