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[コメント] グレートウォール(2016/中国=米)

設定の最初から荒唐無稽な分、あまり余計なことを考えずに楽しめる。いかにも中国歴史モノといった大人数の軍勢がカラフルに色分けされ、わさわさ動く人海戦術は面白いし、タイトルに反して長城以外のアクションもあり、見る者を飽きさせないサービス精神旺盛な一本。
シーチキン

それに美人のヒロインジン・ティエン をもってきても侠気を忘れないチャン・イーモウ監督は、武侠映画の今日的継承者といってもよい。 後は余談だが、中国映画、香港映画では総じて将軍とか隊長という軍の幹部クラスは総じて武芸の達人として描かれているなあ。この辺がアメリカ映画やヨーロッパ映画とは違う点ではないか。

アメリカ映画などでは上官は腑抜けというかイマイチに描かれることが多く、曹長とかの部下にベテランの凄腕兵士が多いが、中国系統の映画では軍の指揮官は戦略的判断とか戦術がすぐれていることよりも、まずもって自らが武芸の達人であることが求められる、ということなのだろうか。その分、中国映画では朝廷などの官僚とか大臣はヘタレが多いような気がする。

ただこの前見た『残酷ドラゴン』では悪の親玉は朝廷の権力を一手に握る悪徳政治家だが剣の腕前は超絶達人の域と描かれていた。

ひょっとしてあれか、中国系統の映画では悪の親玉たるもの、いざとなれば自らの腕で戦い相手を倒すことが絶対的条件なのだろうか。アメリカとかヨーロッパ映画では、悪の親玉は凄腕の部下に命じてばっかりだが、中国系統映画ではそんなことは許されない、というのもひょっとして「武侠」の影響なのだろか。

あとね、本作では美しく凛々しい、鮮やかな青の鎧をまとう鶴軍の隊長を演じたジン・ティエンて、『キングコング 髑髏島の巨神』にも出ていたのね。まるで印象が違うのでわからなかった。わからなかったといえば、ウィレム・デフォーアンディ・ラウも最初は妙にしょぼくれててわからなかった。物語が進むにつれて「なんか見覚えがあるなあ」と思っててエンドロールでやっとわかったよ。意外な出演者もよかったね。

なあんてことを考えてしまった。オマケで言えばこういう映画のこういう役もやるマット・デイモンはえらい。

(評価:★3)

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