[コメント] ありがとう、トニ・エルドマン(2016/独=オーストリア)
後期ブニュエルをソフトにして「愛」を足した具合。いい映画だけどいかんせん二次的。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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話は定番人情喜劇。真面目な娘に変わった父親という設定は数多あるが、本作のユニークなのはペーター・ジモニシェックがあんまりギャグに走らない処だろうか(ハナ肇なら到底これでは終わらないだろう)。大企業の横暴に疲れる社員話も数多あるが、首切り業務におかしくなるのはまあ当然だろう。というが、是非おかしくなってほしい。しかし「お前は人間か」とは容赦がない。
裸パーティーはブニュエルないしパゾリーニから毒を抜いてカウリスマキ系のギャグを加えた印象。ザンドラ・ヒュラーは好感度大なれど、容姿も役柄的にも『ブルージャスミン』のケイト・ブランシェットと被る。父親の牙を無表情につけるラストは鮮やかだが、やはりとてもカウリスマキっぽい。全般に二次的。嫌いじゃないんだけど、先行する作品を好んだ者としては、薄味に過ぎた。
あと、長尺にもかかわらず、脚本のエコノミーにいい箇所が幾つもあり、これは良かった。血糊のついたブラウスを髪で隠すよう指示する処とか。
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