[コメント] 喝采(1954/米)
何といっても本作はグレースのもの。彼女が美しいだけの人ではなかったことを知りたければ、まずはこれをご覧になるといい。今の時代においても、何ゆえ彼女が大きく取り扱われるか、その一端を知り得ることができるであろう。
クール・ビューティーと謳われたグレース・ケリーは、ヒッチコック作品のヒロインとしての強い印象も相まってか大女優のイメージも強いが、彼女が女優として活躍した期間は5年ほどに過ぎない。しかし、その間に彼女は、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞の女優賞をも受賞している。そう、当時の彼女は、人気と実力とそして美貌をも兼ね備えた、飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパースターだったのである。
そんな彼女のオスカー主演女優賞受賞作品が本作。この中で彼女は、ビング・クロスビーやウィリアム・ホールデンといった二大スターとの共演にも臆することなく、落ちぶれたミュージカルスターを献身的に支える女性を、抑揚をきかせた演技力で見事に演じ切っている。
当時絶頂期だったホールデンのキャスティングには集客狙いの添え物感を抱かないでもないが、クロスビーの存在感はさすがで、主役でありながらグレースの引き立て役としての責務をも全うするベテランならではの味を示していた。ロングでとらえたラストもよい。
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